学習会「問題だらけのメタン化施設」(付・資源ゴミ処理施設)要約
【学習会「問題だらけのメタン化施設」(付・資源ゴミ処理施設)要約】
~大切なことは、「結論」をはじめから決めないことである~
講師:梶山正三先生(弁護士・理学博士・町田市最終処分場周辺環境保全協議会アドバイザー)
日時:2012年9月9日(日)午後1時~4時 場所:桜台センター集会所
1.町田市では「メタン化施設」(=「生ごみバイオガス化施設」)の実証実験がされていない
・町田市独自の「メタン化施設」の実証実験をせず、他市の事例を基に計画を立てるのは大きな問題。町田市の家庭生ごみの組成調査をして、どんなごみが多いのか詳細に調べることが、「メタン化施設」検討には不可欠だ。機械選別してもメタン化できない不適物が必ず混入されているが、どの程度出るのかは実証実験しないとわからない。京都市での生ごみの組成調査では、手つかず食品や食べ残しが4割近く。この生ごみは減らせる可能性が高い。
・東京都では、一般ごみの約6割が事業系ごみなのに、町田市は2割弱。町田市は持ち込み事業系のみを算入し、家庭用ごみの中に事業系が相当入っていると考えられる。事業系ごみは事業者が本来負担すべきなのに、町田市は税金で多くの事業系ごみの処理をしている。事業系生ごみを家庭用と厳しく分別することで、生ごみは減量可能だ。
2.ごみの減量につながらない⇒施設建設の前に生ごみ減量施策を!
・大きな施設には相当なごみ量が必要になる。「メタン化施設」の場合、投入された生ごみは約20日発酵することになり、常時大量な生ごみが必要となり、ごみ減量につながらない。
・将来、人口は減少予想なのに、町田市では見込んでいない。高齢化によってごみ量が減るという年齢区分別排出原単位の減少分析もされていない。実際可燃ごみは、2004~2009年の5年間で毎年平均4430トンずつ減少している。
・発酵残さを全量焼却するので、メタン化しても焼却ごみは減らない。
3.自主規制値は決して安全を保障しない
・国の規制値より厳しい自主規制値を設定するというが、安定時のみを対象にしたスポットデータではどんな厳しい規制値を定めても無意味。そのうえ、ヒ素、鉛などの重金属のほか、極めて発がん性の強い物質など有害性の高い物質の大部分は規制項目から外されている。
4.費用対効果の検討が甘い
・大量に発生する汚水処理施設の具体化、計画規模、イニシャルコスト(建設コスト、用地コスト、減価償却費)の検討も不十分。トータルで費用対効果を考えるべき。
5.「プラスチック圧縮梱包施設」(*1)の実証実験は子どもだまし
・町田市は「プラスチック圧縮梱包施設の実証実験」と称するものをしているようだが、1回だけでは何も分からない。局部的発熱の測定方法に無知。温度計や熱電対では測定できない。排ガスの採取方法や圧縮方法、廃プラスチックの排出元も不明。TVOC(*2)の測定もしていない。連続サンプリングもされていない。実証実験は最低半年~5年程度やるのが常識。この間に多様な排ガス、多様な状況が経験できるので、あらゆる想定が可能になる。町田市は、実証実験のやり方を知らない。
6.建設前に地元の合意が必要
・建設にあたっては、地元の合意がとれた安全対策が必要。事後モニタリング、地元協定を結び、情報を常に公開し、操業停止も可能な住民参加の運営組織が大切。
7.施設計画でクリアすべき課題がほとんど検討されていない
・生ごみ組成の分析と排出量の将来推計、年齢区分別排出原単位による予測、事業系生ごみの排除方法、生ごみ減量計画の策定と施策の具体化、可燃ごみから生ごみ選別の手法とコスト、「メタン化施設」のトータルコスト、発酵残さの処理とコスト、既存処理施設の延命化計画の検討が必要なのに、ほとんど検討されていない。
(*1:町田市の資源循環型施設整備基本計画の中に、生ごみバイオガス化施設とプラスチック圧縮梱包施設等があります。*2:総揮発性有機物化合物の総称)
〔質疑応答〕
Q:メタン化施設の危険性は?
A:メタンは有害ガスで、最も毒性が高いのは硫化水素。一番怖いのは爆発事故で、焼却炉より危険性は高い。実際、硫化水素による死亡事故は、国内の廃棄物処分場ではいくつも起きている。
Q:何故、このような施設を作ろうとするのか?
A:目的は、公共事業。日本のごみ政策を握っているのはプラントメーカーで、大規模な施設建設で利益を上げている。
~大切なことは、「結論」をはじめから決めないことである~
講師:梶山正三先生(弁護士・理学博士・町田市最終処分場周辺環境保全協議会アドバイザー)
日時:2012年9月9日(日)午後1時~4時 場所:桜台センター集会所
1.町田市では「メタン化施設」(=「生ごみバイオガス化施設」)の実証実験がされていない
・町田市独自の「メタン化施設」の実証実験をせず、他市の事例を基に計画を立てるのは大きな問題。町田市の家庭生ごみの組成調査をして、どんなごみが多いのか詳細に調べることが、「メタン化施設」検討には不可欠だ。機械選別してもメタン化できない不適物が必ず混入されているが、どの程度出るのかは実証実験しないとわからない。京都市での生ごみの組成調査では、手つかず食品や食べ残しが4割近く。この生ごみは減らせる可能性が高い。
・東京都では、一般ごみの約6割が事業系ごみなのに、町田市は2割弱。町田市は持ち込み事業系のみを算入し、家庭用ごみの中に事業系が相当入っていると考えられる。事業系ごみは事業者が本来負担すべきなのに、町田市は税金で多くの事業系ごみの処理をしている。事業系生ごみを家庭用と厳しく分別することで、生ごみは減量可能だ。
2.ごみの減量につながらない⇒施設建設の前に生ごみ減量施策を!
・大きな施設には相当なごみ量が必要になる。「メタン化施設」の場合、投入された生ごみは約20日発酵することになり、常時大量な生ごみが必要となり、ごみ減量につながらない。
・将来、人口は減少予想なのに、町田市では見込んでいない。高齢化によってごみ量が減るという年齢区分別排出原単位の減少分析もされていない。実際可燃ごみは、2004~2009年の5年間で毎年平均4430トンずつ減少している。
・発酵残さを全量焼却するので、メタン化しても焼却ごみは減らない。
3.自主規制値は決して安全を保障しない
・国の規制値より厳しい自主規制値を設定するというが、安定時のみを対象にしたスポットデータではどんな厳しい規制値を定めても無意味。そのうえ、ヒ素、鉛などの重金属のほか、極めて発がん性の強い物質など有害性の高い物質の大部分は規制項目から外されている。
4.費用対効果の検討が甘い
・大量に発生する汚水処理施設の具体化、計画規模、イニシャルコスト(建設コスト、用地コスト、減価償却費)の検討も不十分。トータルで費用対効果を考えるべき。
5.「プラスチック圧縮梱包施設」(*1)の実証実験は子どもだまし
・町田市は「プラスチック圧縮梱包施設の実証実験」と称するものをしているようだが、1回だけでは何も分からない。局部的発熱の測定方法に無知。温度計や熱電対では測定できない。排ガスの採取方法や圧縮方法、廃プラスチックの排出元も不明。TVOC(*2)の測定もしていない。連続サンプリングもされていない。実証実験は最低半年~5年程度やるのが常識。この間に多様な排ガス、多様な状況が経験できるので、あらゆる想定が可能になる。町田市は、実証実験のやり方を知らない。
6.建設前に地元の合意が必要
・建設にあたっては、地元の合意がとれた安全対策が必要。事後モニタリング、地元協定を結び、情報を常に公開し、操業停止も可能な住民参加の運営組織が大切。
7.施設計画でクリアすべき課題がほとんど検討されていない
・生ごみ組成の分析と排出量の将来推計、年齢区分別排出原単位による予測、事業系生ごみの排除方法、生ごみ減量計画の策定と施策の具体化、可燃ごみから生ごみ選別の手法とコスト、「メタン化施設」のトータルコスト、発酵残さの処理とコスト、既存処理施設の延命化計画の検討が必要なのに、ほとんど検討されていない。
(*1:町田市の資源循環型施設整備基本計画の中に、生ごみバイオガス化施設とプラスチック圧縮梱包施設等があります。*2:総揮発性有機物化合物の総称)
〔質疑応答〕
Q:メタン化施設の危険性は?
A:メタンは有害ガスで、最も毒性が高いのは硫化水素。一番怖いのは爆発事故で、焼却炉より危険性は高い。実際、硫化水素による死亡事故は、国内の廃棄物処分場ではいくつも起きている。
Q:何故、このような施設を作ろうとするのか?
A:目的は、公共事業。日本のごみ政策を握っているのはプラントメーカーで、大規模な施設建設で利益を上げている。
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by oyamadagomimondai
| 2012-10-20 11:00
| 学習会